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  • 執筆者の写真齋藤弘道

自筆証書遺言の保管制度(7)

自筆証書遺言の保管制度に関する話の7回目です。


前回は「自筆証書遺言は年間13万件くらい作成されていて、そのうちの約4分の1が数年内に法務局に保管され、いずれ半数は保管される」と大胆に予測してみました。


さらに、法務局から全ての相続人・受遺者・遺言執行者に通知される制度により、遺言書を勝手に無視することができなくなり、遺言書が実際に使われる可能性が飛躍的に高まる、と考えています。


それでは、この状況が次に何を生み、我々はどう備えるべきかを考えてみます。


ある日、法務局から自分宛てに「故〇〇様の自筆証書遺言を保管している」と手紙が来ます(どのような形式か分かりませんが)。自分は故〇〇様の相続人です。自分以外の相続人の誰かが、法務局に遺言書情報証明書(自筆証書遺言の写しのようなもの)の交付請求をしたのでしょう。どのような遺言内容なのか気になりますよね。自分も法務局へ交付請求をして遺言内容を確認すると思います。


遺言書の内容を確認すると、相続財産の配分が書いてあります。どの財産が自分へ配分されるのか、他の相続人へは何が配分されるのか。多かったり少なかったりします。相続人以外の人や団体へ遺贈する内容があるかも知れません。


以前は、自筆証書遺言は原本しか存在しませんでしたので、遺言内容を見ても「自分しか知らない」という状況がありました。しかし、これからは「相続人・受遺者が全員知っている」状況です。これを前提とした行動になりますので、当然遺言を無視した遺産分割協議書はできません(関係者全員の合意があれば別ですが)。原則として遺言者の意思が反映された財産分与が行われることを意味します。


相続人の中には、自分に都合の悪い遺言を書かれると困ると思う人もいるでしょう。しかし、そもそも相続財産は故人(被相続人)のものです。どう配分しようと自由です(遺留分の問題はありますが)。


逆に言えば、財産を遺される方は、遺言で自分の意思を示さなければ、遺産分割は相続人の話し合いで決まります。永年に亘って同居した家族、療養看護など特にお世話になった方などに、感謝の気持ちとして財産を多く配分したいと考えるならば、遺言を書くべきです(もちろん信託や保険など他の方法もありますが)。さらに、法務局に保管すれば、自分の思いが実現される可能性が高まります。


遺贈を受ける可能性のある非営利団体はどうでしょうか。

相続人の場合と同じように、ある日突然、法務局から団体宛てに通知が来ます。すると、法務局へ遺言書情報証明書の交付請求を申請して、遺言内容を確認すると思います。自団体に何かを遺贈すると書いてあります。


とても有難いことです。でも、次のアクションはどうすれば良いのでしょうか。誰に何を確認し、リスクを把握すれば良いのでしょうか。


次回に続きます。



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