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  • 執筆者の写真齋藤弘道

自筆証書遺言の保管制度(1)

明けましておめでとうございます。

遺贈寄付に関することを中心として、これから週に1回~月1回程度のペースで、思うところを書き綴って行きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


新年ですので、終活や相続における今年の予想をしていきます。

皆さんは、今年の最大のトピックは何になるとお考えでしょうか?

私は、7月10日に始まる、法務局における自筆証書遺言の保管制度だと思います。


遺言書にはいくつか種類がありますが、主に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

では、それぞれの遺言書は年間どれくらい作成されているものなのでしょうか。


公正証書遺言の作成件数は、公証人連合会から毎年3月頃に発表されています。近年はほぼ横ばいで、毎年11万件くらいです。平成元年には年間4万件でしたが、少しずつ増え続けて2015年に11万件になりましたが、ここで頭打ちの傾向が出てきたようです。

(公証人連合会より) http://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren


それでは、自筆証書遺言の作成件数はどれくらいなのでしょうか。実は統計がありません。自筆証書遺言は自分で作成して自分で保管しますので、どこに届出するものでもありません。ですから統計の取りようがないのです。


唯一あるデータと言えば、自筆証書遺言の検認件数です。公正証書遺言は遺言者死亡後にそのまま使うことができますが、自筆証書遺言は家庭裁判所で検認の手続きを取らないと有効な遺言書として金融機関や登記などに使うことができません。したがって、遺言執行者や相続人が自筆証書遺言を使って相続手続きをする場合には必ず家庭裁判所に検認も申立をすることになります。この検認件数が法務省から家事事件の中で毎年公表されています。

(司法統計) http://www.courts.go.jp/app/sihotokei_jp/search


この司法統計によると、検認件数は少しずつ増加しているものの、だいたい年間1万7千件くらいです。皆さんはこの件数をどう思われますか?


費用と手間ひまのかかる公正証書遺言が年間11万件。費用もかからず自分で自由に書ける自筆証書遺言の検認件数が1万7千件。どう考えてもバランスがおかしい。検認件数が少なすぎる。以前から私はそう思っていました。


恐らく、自筆証書遺言は公正証書遺言の何倍も作成されているのが実態であり、そのほんの一部だけが検認されている、そう考えるのが自然だと思うのです。では、大半の自筆証書遺言はどこへ行ってしまったのでしょうか?・・・そう、紛失してしまったか、誰かに隠されてしまったか、だと思われます。相続人の誰かに都合の悪い遺言は、無い事にされてしまうのが実態です。私も目の前で遺言書を破かれた経験があります。もちろん、これは犯罪です。民法に定める相続人の欠格事由(相続人でないことになる)に該当します。


これが、今年の7月から法務局で遺言書が保管される制度ができます。多くの方がこの制度を利用し、多くの自筆証書遺言が保管され、遺言者の死亡と同時に世に出ることになったら、一体何が起こるのでしょうか?


続きは次回へ。



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